大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和37年(テ)27号 判決 1963年1月25日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告代理人古屋福丘の上告理由第一ないし第六点について。

所論は、いずれも単なる法令違背の主張に過ぎず、特別上告適法の理由とならない。

同第七点について。

憲法一二条を云為する論旨も、ひつきよう民訴法四〇九条ノ二第一項の規定が憲法三二条に違反することをいうに帰着すると解せられる。しかし、憲法三二条は、何びとも裁判所において裁判を受ける権利あることを規定したに過ぎないもので、いかなる裁判所において裁判を受くべきかというような裁判所の組織、権限、審級等については、すべて法律において諸般の事情を考慮して定められるべき事項であり、憲法には同八一条を除き他にこれを制限する規定のないことは、すでに当裁判所大法廷判決(昭和二二年(れ)第四三号、同二三年三月一〇日判決、刑集二巻三号一七五頁、昭和二三年(れ)第二八一号、同二五年二月一日判決、刑集四巻二号八八頁)の判示するところであつて、同判決の趣旨に徴すれば、前示民訴法の条規が憲法三二条に違反する旨の所論は採用できない(昭和三〇年(テ)第一七号、同三一年一二月一一日第三小法廷判決、民集一〇巻一二号一五五〇頁)。

よつて、民訴四〇九条ノ三、四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 池田克 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一 裁判官 山田作之助 裁判官 草鹿浅之介)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例